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2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

防御は最大の攻撃

私は二年前ほど、文章修行だと言わんばかりに、図書館に毎日出かけては、一生懸命ノートを取っていたことがある。久しぶりにそのノートの一つであるスローターダイクの『シニカル理性批判』を取り出して眺めているのだが、本の実際にその根拠というか論旨と…

動物を性的に見ることについて

宗教に於いて、禁則事項というのがたびたび問題になる。昨今の問題で言うと、例えば同性愛を認めるかどうかという問題が、その一つであり、今日でもキリスト教原理主義者は同性愛に対して強い拒否反応を示すことがたびたび指摘されてはいる。 しかし、動物性…

真木悠介氏の『気流の鳴る音』には、こんな文章が書かれてある。 身体障害者がたとえば片手で食事をする。ごはんをこぼしたり奇妙な身の動かし方をしたりする。それは一般の人間にコッケイだという感じを与える。しかしそれを笑ったりすることは許されないこ…

1994年の『社会学辞典』から「搾取」という言葉を調べる

つい最近、死去なされた社会学者の見田宗介が編集委員となって発刊された『縮刷版・社会学事典』が手元にある。今となっては時代背景もあり、古臭い説明も多いのだが、しかし同時に現代的な説明ではないが故に、はっと見開かされることがある。例えば、「搾…

ライオンは立派だが、狼はやっぱり悪党だ

良く知られていることであるが、グリム童話はグリム兄弟によって集められた昔話が元になっている。しかし、その昔話というのが、いわば上品な方々が顔を顰めるものであったため、版を重ねるごとに改修されていき、いわば元の話とは似つかぬものになってしま…

真実を口にすれば嫌われる

つい最近、『サミング・アップ』(モーム)を読んでいたのだが、そこに興味深い一節があった。 もし真実が最高の価値の一つであるのなら、真実がなんであるのかが誰にも正確に分からないというのは奇妙だ。哲学者は真実の意味に関していまだに争っていて、対…

人を騙すために本当のことを言う

内田樹の『他者と死者』(文春文庫, 2011) という本には、フロイトの『機知』に書かれていたというジョークが引用されている。 列車の中で独りのユダヤ人がもう一人のユダヤ人に尋ねた。 「どこへ行くのかね」 「レンブルクさ」 すると尋ねたユダヤ人は怒っ…