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冬という試練

 最近は妙に寒い日が続くことが多いのだけれども、寒い日が続くと何が問題かといえば、とにかく体調が悪くなることだ。特に、自分の場合は、冬になると立て続けに悪いことが起きたりする。例えば、お気に入りの黄色い筆箱をなくしてしまったりしているし、財布のジッパーも調子がわるく、最近になって壮大に崩壊したりした。こういうのは、モノを大切に扱わない自分が悪かったりするのかもしれないけど、仕方ない。ここ最近だと、仕事も、頭の中がもやもやしてしまって、一向に進まず、なんやかんやと現実逃避をしてしまう。仕事は仕事なのだから、なんとかモチベーションを上げたりする方法を模索しなければならない。それがしばらくの課題だとは思う。

 それはともかくとして、知り合いも冬になると体調がガクンと落ちるタイプだったりする。以前に知人から、冬になるとまるまりがちになるので、血流が悪くなって、気分が優れなくなるという話を聞いたりしていた。冬になると外にも出歩くのが億劫になるから、なおさら体を動かさなくなるからなんだろう。実際に、季節症の精神不安定さというのは存在しているらしい。低血圧で頭が痛くなる人がいるように、冬に限って、精神的に不調になったりすることもあるとのこと。

 どちらかといえば、自分は体的には健康的に生まれてきたようで、病気もあまりしないし、アレルギーといったようなものもなく、それに関してはとても感謝はしているが、一方で、目の前に三十代を目前とすると、変に健康に気を使うようになってしまう。二十代のころには、「そんなに長生きしないだろうし、死ぬとしても唐突に死ぬからそれでいいんじゃないか」ということを考えていた自分でも、例えば徹夜が出来なくなったりとか、あるいは、それほど動けなくなったりすると、現金なもので、健康バランスを考えるといいながら、サプリメントを飲んだりするようになる。

 さらに言うと、やっぱりライフリズムに関しても、だいぶ無理をしていたりしていて、というのも、仕事が終わったあとに、だらだらして、自分のやりたいことをやる、といったことをやっていると午前2時くらいになったりしている。以前だったら、そういう睡眠時間であってもなんとかなっていたけど、だんだんなんともならない現状を自覚し始めると、やっぱりこの辺も改善したほうがいいんじゃないかと思わされる。

 とはいえ、たぶん、僕なんかもそうだけれども、イケイケドンドンのときというのは、自分のことを省みないというのは多少ある。ビジネス書を眺めると『○○はなぜ成功するのか』という、煽り文句が並んでいる本がたくさんあったりするけれども、数年くらいすると、逆にそんなことを書いていた企業が、同じ理由で「失敗した」ことになっている。もちろん、状況というのは常に変わるものであるから、ある時成功していたものが、弱みになることなんていうことはざらにある。

 成功体験というのは厄介なもので、「こういう風にやっていたら成功したから、これで今後成功するはずだ」というのがどうしても刷り込まれてしまう。方法というのは、往々にして状況と結びついているのだけれども、唐突に方法が状況から切り離されて、方法だけが神格化されてしまうことがある。言い換えると、経験といってもいい。そして、それはだんだんとんでもない状態になっているということから、目を背けさせる目隠しの役割にもなったりする。

 どちらかというと、他者的には、失敗だらけの人生であったから、あまり偉そうなことは言えないけれども、ただこの時期の寒さというのは、体調が悪くなるのと同時に、体調が悪いことを理由に、自分のことを省みるのにいい季節なのかもしれない、と思ったりもする。